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『スプリント(Sprint)』が『T-Mobile』になった時(下)

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(前編は以下より)

www.shinshu-shikaku.com

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合併完了を発表!

2020年4月1日、ついにスプリントとT-Mobileが合併完了を発表!!

 

(スプリント・Tモバイル、合併完了  引用:日経オンライン)

www.nikkei.com

 

2012年の買収から苦節7年半、ソフトバンク(グループ)念願の合併完了である。

SBG株主価値の上昇にも大いに貢献したが、個人的には孫さんの「言葉」を信じてスプリントに投資した成果をしみじみと実感できた。

 

SBGとしても、スプリント買収で費やした1.5兆円の投資は、7年超を経て、3兆円を超える株式価値へと変貌。

この投資期間は記載してきたとおり、とても険しい道のりだったが、双方(SBG,スプリント)の株を保有しながら、見守ってきた私としても感慨深い気持ちである。


そして一方では、株式投資において「巷の報道が事実である」とは「思っちゃいけない」ことを改めて確認することができた。

 

企業の経営状態が厳しいときほどネガティブな報道が過熱する。

もともとSBGは一部メディアや日本経済界から「嫌われ者」の側面もあるせいか、特に各所から叩かれまくる傾向があるようだ。

そういった報道と、その結果(事実)を見比べてみることが大事だ。

 

報道の信憑性

日本・米国に限らず、新聞記者やジャーナリストは「スプリント買収(2012年)」から「T-Mobileとの合併完了(2020)」までの期間、どういう記事を発表してきたのだろうか。

ごく一部になるが、参考までに2つの記事を検証してみたい。

 

検証記事1(孫社長が語った「スプリント反転」は本当か 引用:東洋経済オンライン)

toyokeizai.net

この記事では、スプリントの業績悪化、資金面の危機、減損危機が全文にわたって書かれている。
今となっては反転させ、合併に至ったため、「そうはならなかったね」という内容だが、掲載された当時の不安扇動の要素が強く、この記事を見て暗澹たる思いになった投資家も多いのではないだろうか。(私もそれなりにヒヤヒヤした)

 

検証記事2(米スプリントに会計上の懸念 引用:日経オンライン)

www.nikkei.com

 この記事では、スプリントの「隠された負債」なるものを挙げて様々な米国記事を詰め合わせて紹介し、スプリント危機をあおっている。

最後には「見えない負債はあるのか、見せない負債を作っているのか」などと不安感を出して締めくくっているが、結局どうなったのだろうか?
このITジャーナリストなる人が、その後きちんと調査結果を発表したかは不明であるが、その後きちんとスプリントはT-Mobileとの合併を果たしたことだけは事実である。

 

スプリント・T-Mobile 合併後の新展開

2020年4月1日、合併を果たして新T-mobileとして出発する一方で、

SBGは2020年3月期でコロナ渦を受けてSVFの投資損失を大幅に計上、1兆円近い当期損失となった。

それらの状況を受けて、SBGは資産(保有株式)売却で4.5兆円を現金化することを発表する展開へ。

 

group.softbank

 おそらくどれも売却したくない保有株式だが、4.5兆円となると「アリババ」「ソフトバンクKK」「T-Mobile」「ARM」「ヤフー(Zホールディング)」などの候補を挙げないと難しい。

 

いろいろな売却報道が飛び交うなか、5月には「アリババ」1.2兆円売却、「ソフトバンクKK」3000億円売却、と矢継ぎ早に報道された。

一部報道では、 いよいよ「T-Mobile」売却か?と話題になってきた矢先、

2020/6/23に「T-Mobile」売却発表となった。

 

group.softbank

 内容によれば、保有株の2/3を売却し、約2兆円を現金化するとのこと。さらに残りも売却する可能性を残す。

実質的なスプリント=T-Mobileへの投資戦略も、「いったんここまでか」という印象。

 T-Mobileを現金化してまで、「自己株式取得or負債圧縮」に回す意図は正直真意をつかみにくいままであるが、「今打つべき手はこれである」と理解することにしておいた。

コロナ渦の先行き、インパクトは常人には見通せない。

 

キャッシュ イズ マネー (あたりまえ)

キャッシュ イズ キング ということだろうか?

 

「4.5兆円の現金化の意味はこういうことだったのか!」と近い将来に思えることを願いつつ、自身の保有するT-Mobile株(旧スプリント株)をどうするかを考え始めた。 

 

投げ打って投資した「カローラ」の結末

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当記事の(上)に書いたが、スプリント(現T-Mobile)への全投資額は、

新車のカローラ」くらいである。

NISA枠に全て突っ込んだ「カローラ」は、「T-Mobile」に変貌を遂げ(ややこしい)、SBGが同株を2/3手放したことを機に、一つの決断をした。

私も随順して「T-Mobile」全株売却したのである。

 

そして、結局のところ、 

「破綻しそうなスプリント」に「廃車」覚悟で投げ打った投資はどうなったのか?

結果としては、

 

スプリントに預けた「カローラ」

「レクサス」になって、帰ってきました!

 

これもわかりにくい例えだが、まあ投資額の3倍弱での回収となった。

(T-Mobile 101.5ドルにて売却フィニッシュ)

 

このスプリント投資はどちらかというと「投資」より「投機」的なギャンブルだったように思う。なにしろ孫さんの自信だけを信じて、車1台分投げ打ったのだから。

 

この投資からのリターン資金については、もちろん実際に「レクサス」を手にしたわけもなく、次への米国株投資への資金で温存している。

 

コロナ渦のなかで、株価がなぜか相対的に上がり気味なので、またT-Mobile買いなおそうかという誘惑をおぼえながら、じっくり市場をみていきたい。